■現代風俗研究会について

 ・現代風俗研究会の紹介

 現代風俗研究会(通称・現風研)は、故・桑原武夫京大名誉教授を中心に、学界、一般から数多くの発起人が集まって、1976年9月に発足いたしました。現代における風俗現象について、従来とは違ったさまざまな角度から調査・研究を行い、社会を新しくとらえ直していくことを目的として、京都を中心に活発な活動を続けています。

 専門の研究者ばかりではなく、色々な立場の人が、会の運営をはじめ企画、編集などに参加し、活動を楽しみながら活動しています。


 ・前会長からのご挨拶

 初代会長はダンディなフランス文学者にして登山家であり、共同研究の名リーダーとうたわれた桑原武夫先生。2代目は、文学者たり社会学者たり、詩人、俳人、はたまた毒舌の名手たる多田道太郎先生。しかりしこうして3代目は……ケラケラと笑っているばかりいる普通のおばさんです。なんてユニークな会ではありませんか。

 会員は個性派ぞろい、人材の宝庫です。老若男女、職業もさまざま、多種多様な会員が同じフロアに立ち、侃々諤々“今”を論じあう。この自由闊達な空気と心意気を私はとても愛しています。

現代風俗研究会 会長・高橋千鶴子(土人形師)

 


 ・事典での定義

 略称現風研。民間に広く開かれた研究会として、 1976年9月、京都・法然院にて創立。桑原武夫(初代会長)、鶴見俊輔、多田道太郎(第二代会長)、橋本峰雄、井上俊、井上忠司、山本明らを中心に「ひろく現代(明治以降)風俗に関する理論的、歴史的研究」を目的に、日常生活の視点から現代風俗を観察・記録する市民研究団体として発足した。年間テーマを決め、年4、5回の研究例会及び数回の分科会を持ち、その成果は、年報『現代風俗』として毎年刊行されている。特集テーマの主たるものは、流行、地域、「もの」の自分史、旅行、暴力、「老いと若さ」、性、貧乏など。とりわけ、「風呂」「はきもの」「電話」をはじめとする生活・風俗の変化についての会員の「はがき報告」の集積が注目され、その一部は単行本となった。発足10年を機に、これまでの任意団体から社団法人設立となり、88年1月認可、再発足した。風俗こそ伝統と現代、その心と形を集約的に表現するもの、との視点から共同研究が持続されている。

(津金沢聰廣の解説:『大衆文化事典』弘文堂、1991に収録)