第23期 新風俗学教室 第5回開催のお知らせ | 2022/06/28 |
今年度の年間テーマは「飲酒の風俗/禁酒の風俗」です。今回から実験的にオンラインとオフラインのハイブリッド形式での開催となります。
【テーマ】酒のない台所:禁酒法とアメリカ料理
【要旨】
1920年から1933年までの足掛け14年間に亘り、アメリカ合衆国政府は、人を酩酊させる力を持った酒類(intoxicating liqures)の製造、販売、輸送を、連邦レベルで禁じた。 この「高貴な実験」(the “Noble Experiment”) ――禁酒法時代末期に大統領を務めたハーバート・フーバー大統領(在位1929-33)の言葉――、これは後から振り返ればどうみても無謀としか思えない社会実験だったわけだが、果たして大失敗に終わった。というか、少なくとも、教科書レベルでは、失敗に終わったことになっている。しかし実際はそんなことはない。今でもドライを続けているところ(地方自治体、管理区、コミュニティなど)はたくさんあるし、最もウェットと考えられる町でも、日本のようにいつでも酒が買えるところなど、皆無といっていい。節酒運動が盛んになってきた19世紀の初めから、禁酒法時代、そしてポスト禁酒主義の時代、現代にいたるまで、基本的に、アメリカ人の節酒や禁酒に対する基本的な態度は、変わっていないのだ。 日本でもヨーロッパでも議論されたことはあっても、うまくいかなかったのに、なぜアメリカでは憲法を改正してまで禁酒法を成立させることができたのか。そして憲法を再修正してやめたのに、なぜ未だに酒の完全解禁を躊躇しているのか。
その理由として、節酒運動禁酒運動を積極的に進めたのが女性であったということと、料理という活動が、女性の領域であったということ、そして、なによりそもそもアメリカ料理がヨーロッパやアジアの料理と根本から違う特徴を持っていることが、重要な役割を果たしていると考えている。女と料理、ことにアメリカ料理が、禁酒や節酒とつながるのか。それを話したいと思う。
【報告者】大木理恵子
【司会】加藤 裕康
【コーディネイター】神野 由紀
【オンラインサポート】鈴木亮太、菊地映輝
【日時】2022年7月9日(土曜日)15時~16時半
【会場】
(リアル会場)明治大学リバティタワー6階:1062教室(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1)
https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
(オンライン会場)Zoom ※申込者には8日中にURLをご連絡します。
【懇親会】16時40分~17時半(参加は任意)
教室終了後はカジュアルな雰囲気で議論を引き続き行う予定です。詳細は申込者に追ってご連絡いたします。
【参加資格】
・現代風俗研究会の会員
・東京の会の名簿に登録がある方(新風俗学教室で過去に報告あるいは聴講をし、連絡先を用紙に記入した方)。
※上記参加資格者の方との同伴であれば上記以外の方でも参加可能です。資格外の方が一緒に参加される場合は、事前申し込みの際、必ずその旨お知らせください。
※会員というのは、現代風俗研究会に会費を支払い、入会している方を指します。東京の会の名簿に登録がある方も資格者です。ただしフェイスブックやツイッターなどを登録(フォロー)しているだけの方は、会員ではありません。
お申し込みは下記URLからお願いします。
https://forms.gle/rmAgkpFFbSdxVVbe7
第23期 新風俗学教室 第4回開催のお知らせ | 2022/05/13 |
今年度の年間テーマは「飲酒の風俗/禁酒の風俗」です。引き続きオンラインでの開催となります。
【テーマ】オーセンティックバーにおける「弱い社交性」について
【要旨】
本稿では飲酒文化研究における「つながり偏重」を指摘しながら、オーセンティックバーを事例に「弱い社交性」と共にある飲酒の形について問題提起を行う。人文社会科学における飲酒研究は、一部の自然科学と結びつきながら国単位の飲酒傾向について類型化を行ってきたが、ライフスタイルの均質化やアルコールマーケテイングのグローバル化を背景に国を単位とした類型化が困難になった。これを背景にミクロな社会集団に紐づく規範に着目する飲酒文化研究が注目されているが、これらの飲酒文化研究においては、共同性や親密性を前提とする「つながり偏重」の傾向がみられる。上記のような問題意識から、必ずしも親密性や共同性を前提としない飲酒文化の形として本稿では東京都心地域におけるオーセンティックバーに着目し、参与観察を行うことで店内のつながり(コミュニケーション)を観察した。その結果、店内ではバーテンダーという媒介や店舗の物理的環境、入れ替わる匿名的な人々などの要因に触発されながら、結合を含みこんだ分離/分離を含みこんだ結合が状況によって可変的に切り替わる「弱い社交性」を確認することができた。
【報告者】関駿平
【司会】中江桂子
【コーディネイター】加藤裕康
【オンラインサポート】鈴木亮太、菊地映輝
【日時】2022年5月28日(土曜日)15時~16時半
【懇親会】16時40分~17時半(参加は任意)
教室終了後はZOOMで懇親会を開きます。飲食しながら歓談しませんか。飲食物は各自ご用意ください。
【参加資格】
・現代風俗研究会の会員
・東京の会の名簿に登録がある方(新風俗学教室で過去に報告あるいは聴講をし、連絡先を用紙に記入した方)。
※上記参加資格者の方との同伴であれば上記以外の方でも参加可能です。資格外の方が一緒に参加される場合は、事前申し込みの際、必ずその旨お知らせください。
※会員というのは、現代風俗研究会に会費を支払い、入会している方を指します。東京の会の名簿に登録がある方も資格者です。ただしフェイスブックやツイッターなどを登録(フォロー)しているだけの方は、会員ではありません。
お申し込みは下記URLからお願いします。
https://forms.gle/WcvwxWyF5QaDm6B56
『現代風俗学研究』投稿論文募集!! | 2022/02/21 |
『現代風俗学研究』投稿論文募集!!
2022年秋発行予定の『現代風俗学研究』への投稿論文を募集しています。ぜひ気になっているテーマをおまとめいただき、論文をお寄せください。
投稿をお考えの方は、4月3日までに、仮タイトルとともに本号の編集委員長まで、投稿エントリーをしてください。投稿原稿の締め切りは、5月31日です。その後査読となります。
エントリーいただきましたら、詳細の原稿フォーマットなどをお送りいたします。
詳細・お問い合わせは、編集委員長(中江)nakae@meiji.ac.jpまでお願いします。
『現代風俗学研究』執筆要項
1.
原稿は規定のフォーマットを用い、10頁に収まるようにすること。(写真図版のために、どうしても10頁を超えてしまう場合については、必ず編集委員長にご相談ください)。⇒既定のフォーマットについては、編集委員長にお問い合わせください。字数としてはおよそ1600字程度とお考え下さい。
2.
日本語と英文の題名、氏名、キーワード(3つ)を明記すること。
3.写真図表などはすべてモノクロとし、フォーマットの中にレイアウトすること。写真図表のファイル形式はJPEGとし、解像度は300dpi以上とする。
4.掲載する写真、図表などで版権所有者、所蔵権者の承認を必要とするものは、執筆者自身が許可を取っておくこと。本編集委員会では肖像権や知的所有権についての責任は負わない。
5.投稿の際は、規定フォーマットによる完成原稿を電子メールに添付して送付すること。投稿先は編集委員会事務局とする。
6.本誌掲載の諸論文は、編集委員会の責任のもと、必要に応じて電子化され、公衆送信される。
7.その他、編集に関する事項は、編集委員会が責任をもつこととする。
『現代風俗学研究』編集委員会
第23期 新風俗学教室 第3回開催のお知らせ | 2022/02/21 |
第二三期 新風俗学教室 <飲酒の風俗/禁酒の風俗>
研究会のおしらせ
テーマ:「「酔っぱらい防止法」と女たち」
概要:
「酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」(法律第103号,昭36.6.1)は、通称、「酔っぱらい防止法」や「酩酊者防止法」、あるいは、「トラ退治法」などとも言われる。あまり話題になることもないが、戦後に被選挙権を得て国会議員となった女性たちが、党派を超えて成立に尽力した、女性国会議員による議員立法の第1号である。ただし、法律の提案の1度目は60年安保の国会の混乱で達成されず、翌年に再提出してようやく可決成立となった。
戦後、食べるために必死だった時期から、飲みたいときに酒が飲める生活になってくると、酔っぱらいが社会の問題として頭をもたげてきた。日本社会は酒に寛容で、酒が社会システムの中に組み込まれていると言われているが、1960年代初頭は、現在以上に「酔い」にはおおらかな時代であった。
このような社会背景の中で、酔っぱらいの何が問題となったのか、なぜ女たちによって「酔っぱらい防止法」が浮上したのか、そして、法制定に至るまでに何が争われたのか。社会的弱者としての女性像や飲酒に厳格な女性のステレオタイプを決めつけず、当時の酔っぱらい風景を思い浮かべながら、法律の成立過程を追っていきたいと考える。
【報告者】小野田美津江
【司会】加藤裕康
【コーディネイター】中江桂子
【オンラインサポート】鈴木亮太、菊地映輝
【日時】2022年4月2日(土曜日)15時~16時半
【懇親会】16時40分~17時半(参加は任意)
教室終了後はZOOMで懇親会を開きます。飲食しながら歓談しませんか。飲食物は各自ご用意ください。
【参加資格】
・現代風俗研究会の会員
・東京の会の名簿に登録がある方(新風俗学教室で過去に報告あるいは聴講をし、連絡先を用紙に記入した方)。
※上記参加資格者の方との同伴であれば上記以外の方でも参加可能です。資格外の方が一緒に参加される場合は、事前申し込みの際、必ずその旨お知らせください。
※会員というのは、現代風俗研究会に会費を支払い、入会している方を指します。東京の会の名簿に登録がある方も資格者です。ただしフェイスブックやツイッターなどを登録(フォロー)しているだけの方は、会員ではありません。
開催が近くになりましたら、メールにて参加エントリー等のご連絡をします。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 中江桂子
第23期 新風俗学教室 第2回開催のお知らせ | 2021/12/01 |
今年度の年間テーマは「飲酒の風俗/禁酒の風俗」です。引き続きオンラインでの開催となります。
【テーマ】酒と居酒屋からみた日本の戦後
【要旨】
「歌は世につれ 世は歌につれ」などというが、「酒は世につれ 世は酒につれ」というのも、同じくらいに真実だろう。飲まれる酒の種類、その飲まれ方、居酒屋の形態などは、時代によって変わる。酒はその時代の社会のあり方を、色濃く反映する。
戦後の酒文化は、ヤミ市から始まった。粗悪が酒が出回ったが、他方では、戦時中の米不足から酒類生産のなかで比重を高めていたビールが配給によって広まったことから、高度経済成長期の日本酒とビールを中心とする酒文化の素地がつくられた。高度成長期を迎えると。都市部では勤めの帰りに居酒屋へ寄る習慣が定着し、とりあえずビール、のどを潤したあとは日本酒というのが日本人の典型的な飲酒パターンになった。サラリーマンの間では、行きつけの店を持ってウイスキーをボトルキープし、水割りで飲む習慣が広まった。
その後、日本経済は低成長期に移行したが、まだまだ暮らしは安定していた。バブル崩壊の混乱もあったが、それでも九〇年代の半ばまで、大部分の人々の生活は安泰だった。酒の消費量も、また飲食店の売り上げも、伸び続けていた。酎ハイやワイン、本格焼酎が普及し、酒の多様化も進んだ。
ところがその後、社会は激変する。不況の波が日本を覆い、倒産と失業が激増し、貧困に陥る人々が増え、収入の格差は拡大した。酒の世界にも激変が起こった。その変化は「酒中流社会」から「酒格差社会」へ、と表現することができるだろう。そして貧困化した若者たちの間では酒ばなれ・居酒屋ばなれが進行し、日本の酒文化はその継承者を失おうとしている。コロナ禍はこの傾向をさらに進めたように見える。
当日はこうした戦後日本の酒文化の流れを概観したあと、最後にはコロナ禍のもとでの居酒屋についても触れることにしたい。
【報告者】橋本健二
【司会】神野由紀
【コーディネイター】加藤裕康
【オンラインサポート】鈴木亮太、菊地映輝
【日時】2021年12月18日(土曜日)15時~16時半
【懇親会】16時40分~17時半(参加は任意)
教室終了後はZOOMで懇親会を開きます。飲食しながら歓談しませんか。飲食物は各自ご用意ください。
【参加資格】
・現代風俗研究会の会員
・東京の会の名簿に登録がある方(新風俗学教室で過去に報告あるいは聴講をし、連絡先を用紙に記入した方)。
※上記参加資格者の方との同伴であれば上記以外の方でも参加可能です。資格外の方が一緒に参加される場合は、事前申し込みの際、必ずその旨お知らせください。
※会員というのは、現代風俗研究会に会費を支払い、入会している方を指します。東京の会の名簿に登録がある方も資格者です。ただしフェイスブックやツイッターなどを登録(フォロー)しているだけの方は、会員ではありません。
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