第13期「東京の風俗」第1回 2007/07/16
報告テーマ
「都市(東京)における『男色』エリアの変遷
 -盛り場の片隅で-」


報告者 三橋順子(お茶の水女子大学非常勤講師
            国際日本文化研究センター共同研究員)
日時  2005年5月21日(土)午後3~6時
会場  日本女子大学目白キャンパス百年館3階(教室未定)


<報告概要>

 江戸・東京において「男色文化」(男性同性愛、もしくは女装者の文化)が、どのような地域で、ひそやかな花を開き、時代とともに地理的に変遷して、現在に至ったのかを、少ない資料から、可能な限り浮かび上がらせようと思います。

 そして、それが一般的(ヘテロセクシュアル)な「盛り場」と、どのように重なり関係するのかも考えてみたいと思います。


<関連文献>
・三橋順子「現代日本のトランスジェンダー世界 -東京新宿の女装コミュニティを中心に-」(『中央大学社会科学研究所年報』7号 2003年6月 中央大学)

・井上章一&関西性欲研究会『性の用語集』(2004年12月 講談社現代新書)所収、三橋執筆担当項目「おかま」「女装」「ニューハーフ」「Mr.レディ、Missダンディ」「ゲイボーイ・シスターボーイ・ブルーボーイ」「レンコン」

 

 

第13期「東京の風俗」第2回 2007/07/16
報告タイトル
「渋谷・ハチ公前 路上販売のエスノグラフィ」


報告者 田瀬ももさん(日本女子大学大学院博士前期課程修了)
日時  2005年7月2日(土)午後3時~午後6時
場所  日本女子大学目白キャンパス百年館302会議室


要旨:

 本発表は都市空間の取り締まりや浄化作戦の網の目をかいくぐっては渋谷・ハチ公前に出没し、自作のイラストや詩画集、手製のアクセサリー等を売っている人々にスポットを当てたフィールドワークの報告です。

 江戸時代から現在に至るまで、露店や屋台は隣接する商店と共存しながら互いに街を賑わせ、都市に人を惹き付ける因子として機能してきましたが、今回対象にした人々は伝統的な露天商やテキヤの流れには属していないので、この報告では彼らの活動を「路上販売」と呼ぶことにします。

 まず報告の前半では、近年の都市の路上の様相を捉えるため、そして「路上販売」の周辺事情まとめるという意味も含めて”路上ライブの流行”と”フリーマーケットの普及”について概観します。

 バブル全盛の1980年代後半、好況に沸いた日本に海外からの渡航者が増加し、各種メディアが伝える情報によって、歩行者天国の枠を越えて路上での演奏がされるようになり、その後、バンドブームを経てバブル崩壊後の90年代後半に入ると路上ライブは都心のターミナル駅ばかりでなく、郊外の主要駅周辺でも多くもみられるようになりました。

 一方、日本におけるフリーマーケットの普及について雑誌記事等では、まずリサイクルへの市民の関心の高まりとして取りあげられますが、次第に10~20代前半の若者たちの価値観の変質に関して言及がなされるようになっていきます。

 特に90年代後半から、他者との関係において、何か獲得すべき目的や利害に左右された関係ではなく、純粋に他者との関係を味わい、楽しみ、享受する態度を前提とする「つながり感覚」を大切にするという姿勢がフリマや路上ライブと親和性をもって若い世代に受け入れられているという傾向があるようです。

 後半では写真資料等も盛り込みながら、「路上販売」を行う人々とハチ公前広場の様子を出来るだけ詳しくご紹介していきます。2004年の2月から9月にかけてのフィールドワーク期間中には40余り店を確認しましたが、ハチ公前で路上販売が見られるようになったのは1990年代末頃からであり、その数が増加し定着した要因には、同潤会アパートの建て替えに伴う取り壊し工事のために、それまで店を出していた表参道からの移動を余儀なくされるなど周辺の地域事情が関わっていました。

 さらに、ハチ公前での活動を1~5年継続している方を対象にインタビュー調査を依頼、実施した結果、彼らの多くが、それまで育ち生活してきた環境から離れること(とくに「上京」)や、離職・転職などを経験し現在に至っていることが明らかになりました。彼らにとっての「路上販売」の意味や「東京」あるいは「渋谷」という場所のイメージについても最後にまとめたいと思います。

 

 

第13期「東京の風俗」第3回 2007/07/16
報告タイトル
「都市の消費者となった女性たち
 ─消費社会における女性イメージの検討─」


報告者 神野由紀さん(関東学院大学)
日時  2005年11月5日(土)午後3時~午後6時
場所  日本女子大学目白キャンパス百年館302会議室


報告要旨:
 「女性は買い物好き」「百貨店は女性のための宮殿である」というイメージは、近代の初期に新しい商空間が出現した頃から今日に至るまで、自明のものと考えられています。

 しかし近代日本における百貨店など消費社会の様々な事象を考察していく中で、果たして初めから本当にそうだったのかと、気になるようになりました。

 当時の日本の女性たちの置かれた状況を考えるならば、都市の消費空間に果たしてどれほどの女性たちが外出できたのか、疑問が残ります。女性の百貨店での買い物は、初期のポスターにも描かれているように、外商による自宅での買い物がほとんどでした。女性はいつから都市において「消費する性」となったのでしょうか。

 百貨店、銀座といった都市空間において、女性消費者が文献資料の中でどう語られていくか、男性消費者と対照させつつ、近代の女性イメージがつくられていった背景の一端を問題提起できればと思います。

 

 

第13期「東京の風俗」第4回 2007/07/16
テーマ
「寅さんの見た風景を採集する
 -カメラ付きケータイをもちいたフィールドワークの試み」

報告者 加藤文俊さん(慶應義塾大学環境情報学部)
      加藤ゼミのみなさん
日時  2005年12月10日午後3時~午後6時
会場  日本女子大学目白キャンパス百年館302会議室


報告要旨:

 カメラ付きケータイは、風景を採集するための“装備”です。わたしたちは、2003年春より「ケータイチョーサタイ」を結成し、変わりゆく東京のまちの風景を採集してきました。

 縁あって、2004年の秋からは寅さんのまち、葛飾柴又の調査を開始しました。『男はつらいよ』で描かれたイメージは、どの程度生き続けているのか。映画にはない、あたらしい柴又を発見することはできるのか。風景の採集をつうじて、そこに暮らす人びとに目が向きます。

 そして、きわめて自然なことながら、いわゆる観光客(観察者)としての立場だけでは満足できなくなります。寅さんのキャラクターをよりよく理解するためには、観光客としての立場ではなく、柴又に暮らす人びとに少しでも近づく工夫が必要です。学生たちは「ぷちインターンシップ」として、団子屋や漬物屋に潜入し、店の手伝いをしながら内側から見た柴又の風景の採集も試みました。

 こうした一連の活動をつうじて、柴又というまちのホスピタリティを理解できればと考えています。研究会では、現在すすめている葛飾柴又の調査について、皆さまからコメントやアドバイスなどいただければと思います。


※調査の概要・まとめについては加藤が担当し、調査の詳細・エピソードについては、ゼミの学生がお話しします。

 

 

第13期「東京の風俗」第5回 2007/07/16
報告タイトル
「吉祥寺のサブカルチャー」

報告者 伊奈正人さん(東京女子大学)
日時  2006年3月18日(土)午後3時~6時
会場  日本女子大学目白キャンパス百年館302会議室


・報告要旨

「変化の多い街」と言われ、アンテナ的なお店が多い街、美味しいものは「無国籍料理」なんて街にサブカルチャーなんであるのでしょうか。なんでもあるけど、なんにもない街の文化について考えてみたいと思います。

 お店も、音楽も、演劇も、映画も、食べ物もあまり詳しくありませんが、街を歩き、話して、集めた考察の糸口となるような事例をいくつか提示してみたいと思って
います。

 


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